ThunderboltケーブルとUSB-Cケーブルの違い|充電だけなら高いケーブルは必要?
充電だけが目的なら、Thunderboltケーブルは必要ありません。形はどちらも同じUSB-Cですが、Thunderboltケーブルの価値は「大量のデータを速く送る」「ディスプレイに映像を出す」ところにあります。
ただし、安いケーブルなら何でもよいわけではありません。ノートPCのように大きな電力が必要な機器では、ケーブルの対応ワット数が足りずに充電が遅くなることがあります。
この記事では、次の3点を整理します。
- 充電だけなら、どのケーブルで足りるのか
- Thunderboltケーブルが必要になる場面
- 手元のケーブルの見分け方
充電だけならThunderboltケーブルは要らない
Appleの説明では、iPhoneの充電にはUSB Power Delivery(USB PD)に対応した電源アダプタと、USB-Cケーブルがあれば足ります。iPhoneに付属しているケーブルも、そのまま使えます。
USB PDは、USB-Cで安全に電力をやり取りするための共通ルールです。充電速度を決めるのは、主に次の3つです。
- 電源アダプタが出せるワット数
- 充電される機器が受け取れるワット数
- ケーブルが通せるワット数
この3つのうち、いちばん低いものが上限になります。これは仕様上の考え方から導いた一般的な理解で、機器ごとの実測値ではありません。
iPhoneでは、20W以上のUSB-Cアダプタを使うと速く充電できるとApple公式に案内されています。この程度の電力なら、Thunderboltケーブルでなくても問題ありません。
手持ちのケーブルと充電器で、どれくらいの速さで充電できるかを知りたい方へ。
見た目が同じでも、ケーブルの中身は3段階に分かれる
USB-Cは「コネクタの形」の名前です。同じ形でも、中に通っている配線や性能は大きく違います。
| 種類 | データ | 映像 | 充電 |
|---|---|---|---|
| 充電用USB-Cケーブル | 遅い(USB 2.0) | 出ない | 製品による |
| USB 3対応USB-Cケーブル | 速い(最大10Gbps) | 製品による | 製品による |
| Thunderboltケーブル | 最も速い(40Gbps以上) | 出る | 大きめ |
Appleの純正ケーブルで見ると、違いがはっきりします。
- USB-C Charge Cable:データは最大480Mbps(USB 2.0)で、映像は出力できません。
- Thunderbolt 4 Pro Cable(3m):データは最大40Gbps、充電は最大100W、映像出力にも対応しています。
- Thunderbolt 5 Pro Cable(1m):データは最大120Gbps(Thunderbolt 5接続時)、充電は最大240Wです。
Gbps(ギガビット毎秒)は、1秒に送れるデータ量の単位です。数字が大きいほど、大きなファイルを短時間で送れます。
充電用ケーブルが遅いのは、故障ではなく仕様
充電用USB-Cケーブルは、配線を最小限にしています。そのため、スマホとPCをつないでも写真の転送が遅く、ディスプレイにつないでも映らないことがあります。ケーブルの不良ではなく、そういう作りのケーブルです。
ワット数は「ケーブルの太さ」で決まる
ノートPCやタブレットを充電するなら、ケーブルのワット数を確認してください。USB-Cのルールでは、次のようになっています。
- すべてのUSB-Cケーブルは、最低でも60W(20V・3A)に対応する必要があります。
- 100Wまで通せるケーブルは、5A対応の構造になっています。
- 最大240Wまで拡張されたルール(EPR)もあります。
USB-Cの仕様では、USB 2.0のみで3Aまでの最小構成を除いて、すべてのUSB-Cケーブルに「e-Marker」というチップが必要とされています。e-Markerは、ケーブルが何Wまで通せるかを機器に伝える識別チップです。大きな電力を通す高性能なケーブルほど、このチップが入っています。
60Wで足りる機器と、足りない機器
ここからは、仕様の数字をもとにした目安です。
- iPhone、AirPods、Apple Watch:60Wあれば十分
- iPad、MacBook Air:60Wから100W級のケーブルが目安
- 大きめのMacBook Pro:100W以上に対応したケーブルを使うと、充電器の性能を活かしやすい
自分の機器にどのワット数が必要かは、機種ごとに異なります。
Thunderboltケーブルが必要になる場面
充電以外の用途では、Thunderboltケーブルの出番があります。
外付けSSDでデータを高速にやり取りしたい
動画や大量の写真を外付けSSDに保存する場合、ケーブルの速度が転送時間に直結します。SSDの速さを活かすなら、Thunderbolt対応のケーブルや、10Gbps以上に対応したケーブルが必要です。
ただし、接続する機器側も対応している必要があります。Appleの説明では、ポートが1つしかなくThunderboltのマークがないMacは、Thunderbolt接続に対応していません。ケーブルだけ高性能にしても、機器が対応していなければ速くなりません。
iPhone 15 Pro以降で、外部ストレージに直接保存したい
iPhoneに付属のケーブルは、充電とUSB 2相当の速度までの対応です。Appleによると、USB 3.2 Gen 2(最大10Gbps)で転送できるのはiPhone 15 Pro以降のProモデルだけで、10Gbps対応のUSB 3ケーブルが必要です。ProRes動画を外部ストレージに直接記録する用途でも、USB 3.2対応ケーブルとProモデルが条件です。
ディスプレイに映像を出したい
USB-Cケーブルで映像を出す場合、Appleの案内では、USB 3.1以上に対応したケーブルを使うよう書かれています。ディスプレイに付属するケーブルか、Thunderbolt対応のケーブルが目安です。充電用のケーブルをつないでも、映像は出ません。
映像の出力には、ケーブルのほかにMac側の対応も関係します。複数のディスプレイをつなぐ場合は、機種ごとに接続できる台数が決まっています。
手持ちのケーブルがどれか見分ける方法
見た目だけで見分けるのは難しいですが、次の手順で絞り込めます。
- コネクタの根元にロゴがあるか:ThunderboltのマークがあればThunderboltケーブルです。USBのマークは、USB-Cケーブルの印です(Appleの案内による)。
- 製品名や説明に「Thunderbolt」「40Gbps」「USB 3.2」などの表記があるか:箱や商品ページで確認します。
- 付属品か購入履歴を確認する:スマホに付属のケーブルは、充電用であることが多いです。
- ロゴも表記もない場合:データ転送や映像には使わず、充電専用と考えるのが安全です。
無印のケーブルは、充電専用と割り切る
ロゴがなく仕様も分からないケーブルは、性能を確かめる方法が限られます。充電専用の1本として使い、データや映像用には別に用意するほうが、トラブルを避けられます。
高いケーブルで損をしないための判断基準
結局どれを買うかは、使い方で決まります。
| 使い方 | 必要なケーブル |
|---|---|
| iPhoneやAirPodsを充電するだけ | 充電用USB-Cケーブルで十分 |
| iPad・MacBookを充電する | 60W〜100W対応のUSB-Cケーブル |
| 外付けSSDで大容量データを扱う | USB 3.2またはThunderbolt対応 |
| ディスプレイに映像を出す | ディスプレイ付属のものか、Thunderbolt対応 |
「全部Thunderboltで揃える」必要はありません。充電専用の用途には安価なUSB-Cケーブルを使い、データや映像で使う1〜2本だけを性能の高いものにする、という分け方が無駄の少ない選び方です。
ディスプレイやドックまで含めて接続を考えるなら、ケーブルだけでなく、Mac側が何台まで映せるかも確認してください。
Macに何台のディスプレイをつなげるのか、ドックが必要かを機種別に確かめたい方へ。