モバイルバッテリーを預け荷物に入れてはいけない理由|国内線・国際線の違い
モバイルバッテリーは、スーツケースなどの預け荷物に入れられません。必ず機内に持ち込む必要があります。国内線でも国際線でも、この点は共通です。
日本では航空法にもとづくルールで、違反すると罰則が科される可能性があります。2026年4月24日からは、持ち込める数と容量の条件も加わりました。うっかり入れてしまった場合は、気づいた時点ですぐ空港スタッフに伝えるのが基本です。
預け荷物に入れられない理由は貨物室の火災対策
モバイルバッテリーに使われるリチウムイオン電池は、強い衝撃や内部のショートで発熱し、発火するおそれがあります。国土交通省は、国際民間航空機関(ICAO)の国際基準にもとづいて、預け入れ(受託)手荷物に入れることを禁止していると案内しています。
預け荷物は貨物室に積まれます。貨物室で火が出ても、乗務員がすぐに駆けつけて対応することはできません。ニュージーランド民間航空局は、米FAA(連邦航空局)の試験で「貨物室の消火システムでは火を抑え込めない可能性が低くない」という結果が出たことを紹介しています。客室に持ち込めば、乗務員がすぐ対応できます。
国交省の資料は、2025年1月に韓国・金海空港で起きたエア釜山機の火災について、モバイルバッテリーからの発火が原因である可能性が指摘されている、とも触れています。
国内線のルール:預け入れ不可、持ち込みは2個・160Whまで
日本の航空会社(定期航空協会の会員19社)は、2026年4月24日から統一ルールを適用しています。内容は次のとおりです。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 預け入れ | 不可(必ず機内へ) |
| 容量 | 160Wh以下 |
| 個数 | 1人2個まで |
| 機内での使用 | 充電・給電とも不可 |
このほか、端子をテープで覆うか、1個ずつ袋に入れてショートを防ぐ必要があります。座席上の収納棚には入れず、手元で保管します。航空会社ごとにさらに厳しい規定を設けている場合があるため、搭乗前に利用する会社のサイトも確認してください。
自分のモバイルバッテリーが何Whで、2個・160Whの条件に収まるかは、診断ツールで確認できます。
mAh表記しかないときはWhを計算する
本体にWh(ワット時)の表示がなければ、羽田空港のサイトにある計算式で求められます。
定格容量(mAh)× 定格電圧(V)÷ 1000 = Wh
たとえばリチウムイオン電池の電圧は3.7Vと表記されることが多いので、20,000mAhなら約74Whです(これは私の計算です)。羽田空港は、5,000〜20,000mAh程度の一般的な製品の多くが100Wh以下で、160Whの上限に収まるとしています。
端子を守る小物を1つ用意しておくと安心
端子のショート対策は、テープでも袋でも構いません。移動中にケーブルや鍵と触れ合わないよう、モバイルバッテリー用のポーチにまとめておくと、保安検査でも出し入れしやすくなります。
国際線で変わるのは「個数」と「使用」の扱い
国際線でも、預け入れ不可の原則は変わりません。米FAAは、予備のリチウム電池やモバイルバッテリーは「機内持ち込み手荷物のみ」と案内しています。ルフトハンザグループも、預け荷物に入れられないと明記しています。
一方で、個数や機内での使い方は、国や航空会社で違いがあります。公式に確認できた範囲を並べます。
| 項目 | 日本(国交省) | 米FAA | ルフトハンザG |
|---|---|---|---|
| 預け入れ | 不可 | 不可 | 不可 |
| 160Wh超 | 持ち込み不可 | 持ち込み不可(※) | 持ち込み不可(※) |
| 100〜160Wh | 2個まで | 最大2個、航空会社の承認が必要 | 事前承認が必要 |
| 機内での使用 | 不可 | 航空会社により厳しい制限あり | 不可 |
※FAAとルフトハンザは、上限を160Whとして案内しています。
ICAOは2026年3月27日に、1人2個までとし、飛行中の充電を禁止する新しい制限を採択しました。ただし、各国・各社がこれをいつ、どう運用に落とし込むかは異なります。上の表は私が確認した時点の公式情報で、すべての航空会社を網羅したものではありません。
日本の航空会社と違う扱いをする海外の会社もあり得ます。国交省も、外国の航空会社に搭乗する場合はその会社の指示に従うよう案内しています。乗り継ぎや外国の会社の便がある場合は、搭乗前に各社の公式ページで確認してください。
うっかりスーツケースに入れたまま預けてしまったら
気づいたタイミングで動き方が変わります。公式な手順書までは確認できなかったため、以下は原則と、一次情報で確認できた範囲です。実際の対応は、空港と航空会社の判断になります。
預けた直後・保安検査の前なら、すぐスタッフに申し出る
荷物はまだ空港内にあります。チェックインカウンターか近くのスタッフに、荷物の引換券を見せて「モバイルバッテリーが入っている」と伝えます。早く申告するほど、荷物を戻してもらえる可能性が高まります。
搭乗後に気づいたら、客室乗務員に伝える
荷物は貨物室に積まれていますが、無申告のまま飛ぶより、乗務員に伝えて対応を相談するほうが安全です。
搭乗口でカバンを預けることになったときも注意
機内持ち込みの荷物が満席で入らず、搭乗口で預けることになる場合があります。FAAは、このときバッテリーを荷物から取り出し、手元に持って客室に入るよう案内しています。
預けた荷物の中身を宅配で送るときも対象外
国交省の資料にもとづくAviation Wireの報道では、航空機に載せられないモバイルバッテリーは、貨物(宅配)としても航空輸送で受け付けられません。スーツケースを空港に宅配で送るときも、バッテリーは別にして手荷物にします。
荷造りの前に確認したいこと
- モバイルバッテリーは、スーツケースではなく手荷物に入れる
- 容量は160Wh以下、持ち込みは2個までに収まっているか
- 端子をテープか袋で守ってあるか
- 外国の航空会社を使うなら、公式ページで個数と機内での使用条件を確認する
持ち物に合わせて必要な容量を知りたいときは、モバイルバッテリー容量診断も使えます。持ち歩く機器と充電回数から、容量の目安を出せます。
参考にした公式情報
- 国土交通省:モバイルバッテリー(リチウムイオン電池)の機内持込みに関するお知らせ(2025年7月)
- 東京国際空港ターミナル・日本空港ビルデング:モバイルバッテリーの機内持ち込みルール(2026年4月)
- Aviation Wire:機内でのモバイルバッテリー使用・充電禁止、4月24日から
- ICAO:New power bank restrictions will safeguard international aviation
- FAA PackSafe:Lithium Batteries
- ニュージーランド民間航空局:Risks of lithium batteries
- Lufthansa Group:Power banks on board: updated regulations starting 15 January 2026