ウルトラワイド・湾曲モニターに使えるアームの条件【耐荷重・幅・曲率の注意点】
ウルトラワイドや湾曲モニターにアームを付けられるかどうかは、次の3点で決まります。
- スタンドを外したモニター本体の重さが、アームの耐荷重の範囲に入っているか
- モニター背面のVESA穴(取り付け用のネジ穴)と、アームの対応パターンが合っているか
- アームが対応する画面サイズの上限(「49インチまで」など)を超えていないか
「湾曲しているから専用アームが必要」という決まりは、確認できた範囲ではありません。ただし、曲面のモニターは画面が手前に張り出すので、重さの見方にひと手間必要です。
あなたのモニターとデスクの組み合わせで取り付けられるか、先に確認しておきましょう。
耐荷重は「スタンドを外した重さ」で見る
アームの耐荷重と比べる数字は、スタンドを外した本体だけの重さです。カタログの「質量」欄には、スタンド付きと本体のみの2種類が並んでいることが多いので、本体のみの数字を使います。
49インチのウルトラワイドの例として、SamsungのOdyssey G9(S49CG954EN)の米国向け仕様書を見てみます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| スタンド付き | 15.6kg |
| スタンドなし | 10.6kg |
| VESA | 100×100mm |
| 曲率 | 1000R |
アームと比べるのは10.6kgのほうです。15.6kgで比べると、必要以上に大きなアームを選んでしまいます。仕様は地域やモデルで違うことがあるため、手元の機種の仕様書で確認してください。
耐荷重ぎりぎりは避ける
BenQの解説では、スプリング式(バネの力で支えるタイプ)のアームは、モニターの重さが対応範囲の上限や下限に近いと調整が難しくなるとされています。両端に1〜2kgの余裕を残す目安です。
カメラやモニターライトを画面の上に載せるなら、その重さも足します。ウルトラワイドや湾曲モニターについては、前側が重くなりやすいため2〜3kgの余裕を見込む、という説明もあります。
軽いモニターに重量級アームは合わない
耐荷重が大きいアームなら安心、とは限りません。BenQの解説では、軽いモニターに重量用のアームを付けると、画面が上に浮いて位置を決めにくくなることがあるとされています。34インチ前後の軽めのモニターなら、耐荷重13〜15kg程度の一般的なアームで足りることがほとんどです。49インチ級のような重いモニター向けの、耐荷重の大きなアームは、画面の軽いモニターには向きません。
49インチ級は「19kgまで」クラスのアームが候補
Ergotronの「HX」は、49インチまで・19.1kgまで対応をうたう大型モニター向けのアームです。販売ページには、湾曲したウルトラワイドモニター向けの設計であることと、VESA 75×75mmと100×100mmに対応していることが載っています。
先ほどのG9の10.6kgを当てはめると、HXの対応範囲(9.1〜19.1kg)に収まります。これは公開されている数字から私が照らし合わせた結果で、実際に取り付けられることを保証するものではありません。
ここで見るのは次の3つです。
- 重さが耐荷重の範囲内にあるか。上限や下限ぎりぎりでないか
- 画面サイズがアームの対応上限(49インチなど)を超えていないか
- VESAパターンが合うか
画面サイズの上限が書かれていないアームは、ウルトラワイドの横幅を想定していない可能性があります。耐荷重が足りていても、画面の端が下がる原因になるので、サイズの記載があるものを選びます。
選ぶなら、ウルトラワイド対応と明記された耐荷重の大きいモニターアームから、上の3点を満たすものを探す流れになります。
VESA穴が合わない場合はアダプターで補える
VESAは、モニター背面の取り付け穴の間隔を定めた規格です。もっとも多いのは100×100mmと75×75mmで、アームの多くがこの2つに対応しています。
Ergotronの解説では、規格ごとに支えられる重さの目安が決まっています。
| 規格 | 穴の間隔 | 重さの目安 |
|---|---|---|
| MIS-D | 75×75 / 100×100mm | 14kg以下 |
| MIS-E | 200×100mm | 23.7kg以下 |
数字は目安で、規格から外れた製品もあるとされています。実際に取り付けられるかは、アーム側の仕様で判断します。
BenQの解説には、Samsung G9、Acer Predator、ASUS ROGといったゲーミングモニターは独自規格のことが多く、アダプタープレートが必要になる場合がある、という趣旨の記載があります。上でみたG9の米国向け仕様書では100×100mmなので、機種や地域で変わる可能性があります。買う前に、手元の機種の仕様書でVESAの項目を確認してください。
穴の間隔が合わないときは、VESAアダプタープレートを挟む方法があります。アダプターにも耐荷重があるので、モニター本体より余裕のあるものを選びます。
VESA非対応のモニターもある
Apple製のディスプレイは、VESA対応モデルとそうでないモデルがあります。Studio Displayは、購入時にスタンドかVESAマウントアダプタかを選ぶ形でした。Ergotronの説明でも、多くのApple製品はVESA非対応で、アダプターが必要になる場合があるとされています。
Apple製ディスプレイとアームの組み合わせは、診断ツールで判定できます。
湾曲の強さで気をつけること
ここからは、公開されている資料で確認できなかった内容を含みます。BenQの解説にある「湾曲モニターは前が重くなりやすい」という点を手がかりに、私が考えた注意点です。
- 曲率の数字が小さいほど、画面の端が手前に出ます。 曲率は「1000R」のように書かれ、数字が小さいほど強い湾曲です。端が手前に出るぶん、重さの中心が前にずれて、アームを前に倒したときの負担が増えることが考えられます
- 奥行きが増えるぶん、壁との距離を取る必要があります。 画面の端が手前に張り出すので、アームを壁に寄せすぎると端が当たりやすくなります
- 背面の形状は製品ごとに違います。 曲面モニターの背面は平らとは限らず、VESAプレートがぴったり密着しない場合があります。この点について、メーカーの一般的な基準は見つけられませんでした。取り付けの際は、アームとモニターの取扱説明書を確認してください
デスクの幅と天板の条件も確認する
ウルトラワイドは、アームだけでなく机の側にも条件があります。
- 机の奥行き: BenQの解説では、クランプ(机の端を挟んで固定する金具)で取り付けるには、天板の後端と壁の間に5cm以上の隙間が必要とされています
- 幕板(天板裏の横板): 厚いとクランプが付けられないことがあります
- 天板の素材: ガラス、ハニカムボード、へこみやすい素材の天板には補強プレートの使用が推奨されています。重いモニターほど、天板への負担も大きくなります
- 天板の端の形: 端が2.5cmを超えて丸いと、クランプが安定しにくくなります
天板が薄い、または柔らかい素材のときは、モニターアーム用の補強プレートを併用すると安心です。机に合わない場合は、壁掛けやスタンド式も選択肢になります。
取り付け前のチェックリスト
購入前に、次の項目を順に確認してください。
- モニターのスタンドなしの重さを、仕様書で確認する
- 付属品(カメラやライトなど)を足した重さに、2〜3kgの余裕を加えても耐荷重に収まるか
- アームの画面サイズ上限が、モニターのインチ数以上か
- VESAパターン(100×100mmなど)が一致しているか
- 画面の端が壁に当たらない奥行きがあるか
- 机がクランプの条件を満たしているか
これらを手作業で調べるのが面倒なら、診断ツールで一度に確認できます。
また、アームでモニターの位置を自由にできても、Macに接続できるかどうかは別の問題です。5120×1440のような横長の解像度をMacにつなぐ場合は、機種やドックによって制限があります。
ウルトラワイドをつなぐMacの機種とドックの条件も、あわせて確認しておくと安心です。