ローカルLLMを動かすMacのメモリ。何GBから現実的か

2026/10/11PR

ローカルLLM(自分のMacの中だけで動かす生成AI)を試すだけなら、メモリ16GBでも動きます。ただし使えるのは、おおむね8B(80億パラメーター)クラスまでです。

日常的に使うなら24GB、14B〜30Bクラスを快適に動かすなら32GB以上が現実的なラインです。70Bクラスは64GB以上を見ておく必要があります。

メモリは購入後に増設できないため、「今動かしたいモデル」ではなく「半年後に動かしたいモデル」で決めるのが安全です。

自分の用途と使用年数だと何GB必要かは、診断ツールで確認できます。

Macメモリ必要量 診断を使う

16GBは入門、24GBから実用、70Bは64GB以上

先に目安を示します。下の数字のうち、モデルのサイズはOllama(Macでローカルモデルを動かす代表的なアプリ)の公式ライブラリの表記です。「目安メモリ」は、そのサイズをもとにした私の推計で、実測値ではありません。

モデル例配布サイズ目安メモリ使い心地
Qwen3 4B2.5GB8GB〜軽い質問向け
Llama 3.1 8B / Qwen3 8B4.9GB / 5.2GB16GB〜入門の標準
Qwen3 14B9.3GB24GB〜16GBは余裕なし
gpt-oss 20B14GB24GB〜文脈を伸ばすなら32GB
Qwen3 30B / 32B19GB / 20GB32GB〜余裕を取るなら48GB
Llama 3.1 70B43GB64GB〜常用は64GB以上
gpt-oss 120B65GB96GB〜大容量構成向け

「配布サイズ」は、容量を小さくする圧縮(量子化)がかかった版のファイルサイズです。同じモデルでも、圧縮の度合いによって数字は変わります。

モデルのファイルサイズ=必要メモリではない

表の「目安メモリ」がファイルサイズより大きいのには、理由が3つあります。

  • 文脈(会話の長さ)の分が別にかかる。 Ollamaの公式文書によると、文脈を長くするほど使うメモリも増えます。
  • macOSやブラウザも同じメモリを使う。 ローカルLLMだけがメモリを独占できるわけではありません。
  • 足りないと極端に遅くなる。 メモリに収まらない分はCPU側に回ったり、ストレージとの入れ替えが起きたりして、一般に速度が大きく落ちます。Ollamaなら ollama ps で、モデルがCPUに溢れていないか確認できます。

特に見落とされやすいのが文脈です。Ollamaの公式文書では、使えるメモリが24GiB未満の環境では、既定の文脈は4,000トークン(日本語で数千字ほど)に抑えられます。24〜48GiBで32,000、48GiB以上で256,000です。

同じ文書は、Web検索やコーディング支援のような用途では64,000トークン以上を勧めています。つまり16GBのMacでは、モデルが動いても、長い資料を読ませる使い方には窮屈になりがちです。これは公式文書の数字から私が読み取った傾向で、機種ごとの実測ではありません。

ユニファイドメモリでも、全部をAIに使えるわけではない

Macのユニファイドメモリは、CPUとGPUが同じメモリを共有する仕組みです。GPU専用のメモリが別にあるパソコンと違い、容量さえあれば大きなモデルを丸ごと載せられます。ここがMacでローカルLLMが人気になった理由です。

ただし、GPUが使える量には上限があります。llama.cppの開発者向け議論(2023年)では、初期設定のMetal(AppleのGPU向け技術)が使えるのは、メモリ32GB以下で約3分の2、32GBを超えると約4分の3という報告がありました。古い情報で、macOSの更新で変わっている可能性があります。参考値として、私の計算では次のようになります。

搭載メモリGPUに使える目安上限の考え方
16GB約10.7GB3分の2
24GB約16GB3分の2
32GB約21GB3分の2
64GB約48GB4分の3

この計算だと、配布サイズ14GBのgpt-oss 20Bは、16GB機では上限に収まりません。Ollamaのモデルページには「20Bは最低16GBのメモリ」とありますが、Macの初期設定で余裕を持って動かせるかは別の話だと考えています。ブラウザなどを開いたまま使うなら、24GB以上が無難です。

この上限は iogpu.wired_limit_mb という設定で引き上げられると報告されています。ただし公式の手順ではなく、上げすぎるとmacOS側のメモリが足りなくなります。メモリ不足を設定で解決する前提にはしない方が安全です。

メモリ容量が同じでも、チップで速さは変わる

容量は「動くかどうか」を決め、速さは別の要素で決まります。文章を生成する速度は、一般にメモリ帯域幅(メモリとチップの間でデータを運ぶ速さ)に左右されます。

Appleの仕様ページによると、MacBook Proのメモリ帯域幅はM5が153GB/s、M5 Proが307GB/s、M5 Maxが460GB/sまたは614GB/sです。同じ32GBでも、チップによって生成の速さには差が出ると考えられます。

大きなモデルを待ち時間なく使いたいなら、容量とあわせてProやMaxといった上位チップも検討対象になります。一方で、8Bクラスを軽く試す程度なら、無印チップで足ります。

購入後に増やせないので、先に決める

MacのメモリはCPUなどと同じパッケージに載っていて、購入後に交換や増設はできません。後から足りなくなったら買い替えるしかありません。

迷ったときは、次の順で考えると決めやすくなります。

  1. 動かしたいモデルの配布サイズを調べる
  2. その1.5倍前後を、必要なメモリの下限にする(私の目安です)
  3. 数年使うなら、その1段上の容量を選ぶ

新品で上位の容量を選ぶか、整備済製品で条件に合う構成を探すかは、予算次第です。価格は変動するため、Apple公式ストアで確認してください。

モデルの置き場所も、容量を食う

メモリと同じくらい見落とされがちなのが、ストレージです。上の表のとおり、モデル1つで数GBから数十GBになり、複数を試すと内蔵ストレージはすぐに埋まります。

内蔵を大きくするのが難しいなら、モデルの保存先をThunderbolt対応の外付けSSDに逃がす手もあります。ただしモデルの読み込み速度は接続方式で変わるため、常用するモデルは内蔵に置く方が快適です。

ローカルAIのデータを含めると内蔵ストレージは何GB必要かは、診断ツールで確認できます。

Macストレージ必要量 診断を使う

外付けSSDとクラウドのどちらが得かを知りたい場合は、ストレージコストの計算ツールで損益分岐点を確認できます。

数字の出どころ

目安メモリ、1.5倍前後の下限、GPUに使える容量の計算は、上記の数字をもとにした私の推計です。実際の動作は、モデルの種類、圧縮の度合い、アプリ、macOSのバージョンで変わります。

この記事について

Apple製品KASHIWAGI公開日:2026/10/11